2011-02-001

2011年

2月

21日

アノニマスタジオ BOOK MARKET 2011

祖父江慎さんのブックデザインより

BOOK MARKET 2011
BOOK MARKET 2011

18日は午後から東京出張。


ばったり駅前でFH社のS氏に久方ぶりに出くわした。聞くとロスまで視察出張ですと!カッコええ。(笑)
米国大手流通小売のウォルマート視察との事。戻られたら話を伺おう。

さて、当社とお付き合いのあるINAX出版さんが本日から20日までアノニマスタジオで開催されているBOOK MARKET 2011に出展なされるとの案内をいただいていた事もあり立ち寄った。アノニマスタジオは、こじゃれたワークショップなどを開催されていて一度、立ち寄ってみたい所だったのと、INAX出版さんのお手伝いさせていただいている書籍の電子書籍化の話もしたかったのでお邪魔させていただいた。

INAXギャラリーで開催されている展示会のブックレットは1980年代から拝見していて、当時は鈴木一誌さんが精力的なブックデザインを展開なさっておられた魅力的なブックレットのシリーズを多数展示なさっていた。

最近のブックレットは祖父江慎さんの手によるものが多く、祖父江さんらしい愛着のある本づくり、遊びごころたっぷりのデザインで相変わらずの祖父江節だな~と感心。

祖父江さんのブックデザインワールドはリアルな本を手にとって見てもらわないとその魅力は伝わらないですね~と編集の方とお話した。

バイリンガルになっている現代建築家コンセプトブックなら電子書籍化する意味あいはあると思うが、INAXブックレットの方は紙に刷られた本でなければ出来ないデザインと表現の工夫がなされている。

「INAXブックレット」祖父江慎さんのブックデザイン

にっぽんの客船 タイムトリップ

外国への渡航を船が一手に担っていた時代。

日本の客船づくりは海外の模倣から始まり、大正後半から昭和初期には国の威信をかけたものとなり、造船技術の習得と開発が進んで、日本独自の設計やデザインによるものへと大きく発展を遂げていきました。本書では、日本のデザインの完成形をみることができる客船として、大阪商船(現・商船三井)の「あるぜんちな丸」と、東京湾汽船(現・東海汽船)の「橘丸」を中心に、当時、限られた人々のみが搭乗を許された優雅な空間や趣向を凝らしたおもてなしなどを紹介します。船の旅の全盛期にタイムトリップできる一冊です。

 

幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷

幕末に生きた多彩な顔を持つ稀代な才人、松浦武四郎。
本書では、日本の国防を憂い6度も一人で蝦夷へ向かった集大成・蝦夷山川地理取調地図を導入に、旅の記録を描きとめた直筆の野帳や覚書から、特に暮らしや道具、動植物など民俗学的視点で描かれたページを多数紹介します。
また旅の集大成である書斎「一畳敷」のディテールを細かく考察します。激動の時代に生きながら、真摯な中にもユーモア溢れるまなざしに迫る初のビジュアル本。

 

僕はエディトリアルデザインから自身のキャリアをスタートさせたので本という存在は大好きだ。だから祖父江さんのような仕事は愉快だし、見ていて楽しい!
他方、祖父江さんのデザインを受け止めて具現化する印刷の現場、製版の現場は大変だよなあ、と思う。

今、自身はその受け止める側の印刷会社に所属していて、そこでの生産性重視の工場論理の中にイレギュラーファクター満載の祖父江さんのような仕事は現場へデザイン意図を伝え、仕上がりを見つめ、といった進行を担うものの負荷と仕事量を増大させるから大変だ、と言っている自分にも気付かされる。

つまりは、デザイナーとプリンティングディレクターとの会話、プリンティングディレクターと現場との会話によって支えられる品質があり、祖父江さんの仕事は、それを最大化するデザインであって、それを知る自分が、だから愉快さを感じているのだと思う。

だけど、そういうデザインはコミュニケーションが不足するとたちどころに、スムースに物事が運ばなくなる、つまりはコミュニケーションを怠った横着な自分が照らされるので苦さを感じているのかもしれない。

印刷の価格の低下が、一層、コミュニケーションを排除して自動的に流れるような生産効率重視になり、という事で祖父江さんのような仕事を受け止められる会社、ディレクターは少なくなっているのだろうなあ、と思わされる。

そのような事で、密度の高いデザインとそれを支えられる印刷現場との幸福なコラボレーションの中で初めて可能になるブックデザインは希少性があるが故に今後も残りうる紙の本の世界だが、印刷現場が、存続しうるのか?

一方、電子書籍は対極の経済合理性や本の置き場所の問題から自由になる利便性の中でレコードという器が、CDという器に変遷したように、紙の本から電子書籍へと変遷するのも時間の問題であるかも知れず無視出来ない。
だが、紙の本が持っていた存在感と、マテリアル、テクスチャ、重さ、匂いといった五感に訴える書物の物質としての魅力の多くを削ぎ落とす。

電子書籍と紙の書籍を二項対立的に捉えるのでなく、ハイブリッドで当面、良しと個人的には考えるので、それぞれの長所、短所を補完しあえれば良いと思う。

紙の本という商品の”ものづくり”、プロダクトとしてのデザイン、存在感、気配といったものを軸に考えるのと、出来た本の流通と販売というマーケティング&セールス軸を中心に考えるので、好き、嫌い、良し、悪しの評価は変わるだろう。

ひとつ言えるのは、祖父江さんのような本に愛着のある”ものづくり”は受け手にも伝わるし、またその魅力ある世界は、その手元に広がっている。
そして、そういうブックデザインは生き続けると思うのだが、それを支える印刷・製本の現場が環境の変化の中で生業を維持し続けることができるのか、どうか?そこが問題だ

デザインも印刷も二つの現場を持つ私の会社で、本当ならそのような”ものづくり”が継続できるような技術の継承、現場の維持、人材の確保、社業の存続がなしえれば良いのだが…。

これは”在り方”の問題で、”意志”の問題でもある、そうしていく。という人たちが電子書籍と紙の書籍の両方の長所を活かし、存続していける経営をやっていければ理想的だなあ。と思う。

祖父江さんの仕事から考え始まった「本をめぐる雑記」はこれまで。

会場でフランス装の文庫スタイルの本がふと目に留まって手にとった。近年、人気の高い建築ユニットのアトリエワン・貝島桃代さんの『建築からみた まち いえ たてもの のシナリオ』だった。

中のイラストもご本人の手によるものだったが素敵なイラストだった。中身も興味があるので今度、読もう。

建築からみた まち いえ たてもの のシナリオ

 

貝島桃代 著

定価 1,470円(税込)

320頁 天地170mm×左右110mm 並製 

ISBN 978-4-87275-161-1

2010年4月20日

 

独特の視点で都市を読み解き、まちを縦横無尽に駆け抜ける貝島桃代初の単著。1999年から『10+1』に連載された「トーキョー・建築・ライナーノーツ」他、さまざまな媒体で書きためたテキストに加え、今回新に書き下ろした11本を含む34本の論考を収録。「まち」「いえ」「たてもの」というキーワードを手がかりに、「建築からみる」ことの可能性を浮かび上がらせる。アトリエ・ワンとしても活躍する彼女の、建築家としての勘と鋭い眼差しが光る一冊。

 

祖父江慎さんの最新ツイート@sobsin

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2011年

2月

15日

おかみさんが郡山にやって来た!

中心市街地活性化シンポジウム

一昨日、14日にハーモニーステーション郡山(2階イベントスペース)にて中心市街地活性化をテーマとするシンポジウムが開催された。

「斜陽のまち」と呼ばれた東京・浅草を見事に復興させ、その活動によって全国の“おかみさん“に勇気とやる気と元気を与えた浅草おかみさん会理事長の冨永照子さんと駅前大通り及び中央商店街で展開している『一店逸品運動』の中心市街地活性化アドバイザーである加藤博氏がゲストとして来郡された。

冨永さんのおかみさんパワー全開のセミナーであった。

おかみさん会の活動も、『一店逸品運動』についても初めて聞いたことが大半だったので面白く聞けた。

会場に来ていた知人からはあれだけでは中心市街地活性化には足らないと辛口の意見もあったが、地元商店街がさびれていく中で何もやらないよりは、『一店逸品運動』でも具体的に取り組んで共に商店街の方たちが連携して考え行動する契機となるなら、それは良いことと思う。

弊社もサイネージ研究委員会に所属しながら、同じテーマでのセミナーを昨年末に開催したが昨日のセミナーは「コア人材育成」であり、キーマンのリスクを背負う覚悟の話で、昨年末のセミナーは「情報技術を絡めた方法論」からの話という、コントラストをなしている。

実際は、技術だけに依存するような方法論だけでも駄目だし、気合一辺倒での人材育成だけでも駄目だろう。

中心市街地の衰退は日本全国の都市が抱える日本の地方固有の構造的な問題でもあり、駅インフラと並行して育っていった駅前中心市街地形成と、モータリゼーションの発展がもたらした郊外開発、大型大規模店舗の全国展開といった都市デザイン的観点や商業資本主義の発展や交通都市インフラの変遷などに由来する。

地方に住まう人たちの暮らし方、人がどう回遊するか?といったサーキュレーションなどの観点を含むソーシャルデザインまで視野を拡げて考えなければ解けない諸問題がそこにはある。

『デフレの正体』でも書かれていたような生産人口の減少と高齢化社会化というこれまでの日本、あるいは世界を見渡しても過去に類例のない社会の到来もあり、かつては優秀な官僚が日本全体のソーシャルデザインを描き得たのかも知れないが、今は官僚だけでは解ききれない大きなテーマであり多くの知恵を集める必要がある。

そういう意味では浅草において「おかみさん」の行動の結果として貴重な人脈形成がなされ、そこから生まれた知恵の集結もあって今の浅草再興があるのだろう。

新たなランドマークであり、見物名所化するスカイツリーに訪れる客をも浅草に引き入れようという"勢い"は実践されて来た方のみが招くことの出来る"勢い"であると思うし墨田区に、そのような勢いのある受け皿も無いようだ。

こういう勢い、流れを招けるか?というのは思考、ロジック、戦略の外にある。

天の時、地の利、人の和。とは、けだし名言であっておかみさんがなして来たのは「人の和」を作る所から始め、常磐線の駅を浅草に引き入れなかった過去の世代の失策によって失った「地の利」を郡山ゆかりのJRキーマンコンタクトから挽回していく話はとても面白く感じたし、そのように行動し、現実化させたのであるから愉快な話であるなあと思う。

これはまた過去の「地の利」は、今の「地の利」では無いという、駅前商店街の没落と郊外型大規模店舗の発展は地方在住者の足である交通インフラの主役が電車、バスから自家用車に変わった事に起因する問題でもある。

失った「地の利」を回復するには、気の遠くなる努力と投じたお金も必要である事を示唆しながら、スカイツリー建設といった「天の時」を浅草は掴もうとしているということが都内在住でない私にも読み取れ、そういう意味で面白い、おかみさんの基調講演であった。

さて、本題に戻るが、サイネージは個人的には上で言う「スカイツリー」に近い「天の時」を持ったツールだと思う。寿泉堂病院を中心とした再開発を終え稼働の始まった今年はスカイツリー建設と同じ意味で、駅前中心市街地にとって鍵となる1年となる。その時に、やって来たスマートフォン時代の始まり。またTwitter、facebookといったソーシャルメディアの流行も「天の時」。

ソーシャルな情報の入口と出口が、新しい情報インフラとして整いつつある。

浅草がつくばエクスプレス開通の機会を逃さなかったように、交通インフラと情報インフラというインフラの種類の違いがあるが、これは「天の時」。

寿泉堂病院を中心とした再開発の周辺にある商店街は「地の利」も得た。

昔は交通インフラに人が伴って動いていたが、今は情報インフラに伴って人が動く。だから情報インフラ変革の時は「天の時」だ。

さあ、後は「人の和」を集めて、動いているお客様を回遊させる事だ。
そこにも、おかみさんはヒントをくれた。

出来るだけ長時間、回遊、滞在させることだと。
長時間、居て、廻ってくれたら、休憩もする、食事もする。
そこにお金が落ちる。ついでに買い物もする。そこに『一店逸品運動』を始めた方々が、和を持って、おもてなしの心でお迎えし、お疲れのところを癒して差し上げられれば、そこに郡山駅前中心市街地活性化の突破口が見えてくるような気がした。

サイネージは、その時とても有効な情報の窓であり、ナビゲーターとなる。ここにも技術革新の天の時がある。

実は100インチの大型サイネージのアウトプットが20万円以下で可能になる時代になってきた。100インチの大型画面が何をもたらすか。

等身大のリアルな感覚だ。

箱の中のテレビを見ているのではない没入感溢れる原寸大の世界。

これはインパクトのある「サイネージでおもてなし」の時代の始まりを予感さするトピックで、企画開発室の今年の主力テーマでもある。乞うご期待!

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2011年

2月

14日

米ぬかから印刷インキができます!

ライスインキの話

ライスインキ

印刷業界で、印刷物製造におけるCO2排出量表示(カーボンフットプリント)に取り組んでいる株式会社トークさんのご紹介もあり、お付き合いが始まった同業の印刷会社さんが中心になって米ぬかを原料とした「ライスインキ」なるものを開発しています。

 この10年程度のエコ仕様の印刷物というと大豆油インキを使うということがインキという素材側面では標準的に行われてきました。

大豆油インキそのものは、アメリカ国策として大豆農業の工業化の流れで大量生産できるようになった大豆利用の出口として産業用印刷インキ原料に用いるというベクトルの中で「ソイシール」のエコラベリングを通じて環境PRになりますよ。という戦略の元に日米貿易の中でインキ原料として大豆を輸入使用する大義名分が「環境にやさしいインキ」としての大豆油インキ使用だったといえます。

環境報告書やCSRレポートといった、環境配慮を訴求したい印刷物で採用されはじめ、官公庁のグリーン購入などの流れに乗って普及した感があります。

 

アメリカが大豆の工業原料使用、バイオエタノール等の「エコ」を旗頭にした植物由来原料の工業原料への転用開発の流れの中で印刷インキ工業連合会では平成20年12月に『昨今の異常気象等の影響で各地の穀物凶作の発生や、化石燃料の代替としてバイオ燃料の需要が拡大し、大豆をはじめとした穀物価格が大きく変動していることも事実です。このような状況下で、食料である大豆を原料とする大豆油に限定して、環境対応型インキの原料とすることは望ましいこととはいえず、一般的に非食用とされる他の植物油にも使用を拡大することが重要と考えています。このような背景のもとに、大豆油インキを包含した植物油インキを制定しました』。と植物油インキマークの制定の理由の中で述べています。

http://www.ink-jpima.org/ink_syokubutu.html

 

ライスインキ開発は『主要顧客の社長様からの「大豆油でインキができるんだから米ぬか油ではどうなの?」という一言で開発が始まった』。とのことで、ライスインキも広義の植物油インキといえますが「米ぬか」という日本独自の産業廃棄物をインキに用いる事は、ゼロエミッション的な循環型の素材利用とも言え、とても面白いアプローチだと思います。

 

各地のJAなどの印刷物にライスインキを使うなどのアプローチが想像され、米どころである東北方面では「エコ」&「廃棄物利用」の循環型の印刷物提案にはとても有効かと。

 

ライスインキコンソーシアムはこちら>

 

 

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2011年

2月

13日

クラウドHACKS!

これはクラウドコンピューティング時代のノウハウ満載の本だ!

『クラウドHACKS!』小山龍介:著を地元のジュンク堂書店で発見し、役に立ちそうだな思い購入。

12日は休みだったこともあり、1日で読了。

わが企画開発室にも新卒新人が配属されることもあり、そのような環境の節目でもあり、自身の仕事環境がクラウドと手元のPCやらバックアップのHDやらに散在していて、効率的な仕事環境では全く無いので、この機にクラウドをフル活用したワークスタイルを確立して、新人には入った時からクラウド活用で当たり前という仕事のベースのスタイルを身につけてもらえば良いのではないかな?などという考えもあり読んでいた。

 

なかなかにトピック毎にシンプルに整理されて書かれてあり、知らない事の方が多く、やはりクラウド型のビジネススタイルは実践者のHow toを読むのが役に立つ!と痛感。早速知らない便利そうなサービスのいくつかのアカウントを登録。

 

このサイトも始めたことだし、きっとこの本の中のネタの実践例をお見せできるかも知れない。

外と内の出入りの多い営業系、企画系、編集系、クリエイティブ系のお仕事をなさっている方、必読ですよ〜♪

 

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2011年

2月

09日

JIBUNCHY ジブンシー

今日面白かったのは、自分史作成サービス

PROFILEページに掲載した、これ!

 

kiraku1891の自分史

あ、ちなみにこの年表の中味は上のサイトでランダムに歴史事実の笑えるフィクションが自動生成されているものです。本物ではありません(笑)。しかしながら、これをキチンとカスタマイズして本当の自分史の記述に再編集することは、後でできるのですね!

 

久石譲の音楽をBGMに、雰囲気のある動画が自分史の出来事が再生されていきます。

この音楽とムービーで醸し出す雰囲気、この上なし。

 

Twitterにもツイートして共有できますので、これは結構な人気サービスになるかも。ですね!

で、さりげなくJCB50周年の歩みも訴求。ふむ、うまいWebプロモーションだなあ。

 

作ってみたい方は上の「J」アイコンをクリックすれば、そのサイトにジャンプします。

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